すべての人にとって、人生は思い通りにはいかないものです。
しかしながら、すべての人が人生を思い通りにしたいと考えています。
すべての人が自分の考える幸福を望み、それを実現するために行為しているのです。
多くの人は、理想を実現するために、熱意と労力を惜しげもなく費やします。
熱意と労力によって、ある程度は理想が形となるのです。
しかしながら、理想が完成することはありません。
理想に対してどれだけの熱意と労力を費やしても、それがこの世界に実現することはないのです。
残念ながら、人生は理想通りには展開しません。
人生は、常に理想を退けるのです。
あなたの理想は実現しません。
実現するものはすべて、理想とは異なる形であるのです。
あなたは、そのことを覚えておかなければなりません。
理想を実現することに執着(しゅうちゃく)し、現実を否定してはならないのです。
最も重要なのは、実現していない理想ではなく、実現している現実なのです。
目の前の現実こそが、人生においては重要なのです。
多くの人は、現実が気に入りません。
多くの人は、理想を実現するという大義名分(たいぎめいぶん)に誓って、現実を否定するのです。
しかしながら、それは現実逃避の口実に過ぎません。
多くの人は、理想という夢を見ていたいのです。
それは、現実が苦しいからです。
残念ながら、現実は思い通りにはいきません。
現実は、誰にとっても苦しいものなのです。
それは、人生の目的が苦しむことであるからです。
多くの人は、幸せになるために生きています。
それは結構なことです。
すべての人が幸せを実現しなければなりません。
しかしながら、現実を逃避して得られる幸せとは、真(まこと)の幸せではありません。
それは、妄想(もうそう)であり、幻想に過ぎないからです。
現実の苦しみを無視して得られるものは幸せではありません。
あなたは、それが不幸であることを理解しなければならないのです。
それは、問題を抱えていながら、問題が無いと主張しているようなものだからです。
問題を放置している状態であっては、万全とはいえないのです。
残念ながら、人生においては、苦しみは避けられません。
あなたは苦しみと共に生まれ、苦しみと共に生き、苦しみと共に死ななければならないのです。
苦しみがなければ、幸せもありません。
それは、糞尿(ふんにょう)がなければ、花は咲かないのと同じです。
植物は、微生物や昆虫や動物の糞尿を力に変え、花を咲かせます。
多くの人は糞尿を嫌います。
しかしながら、多くの人は花を好むのです。
好むものは、嫌うものによって実現しているということを知る必要があるのです。
人生は、あなたの理想通りには展開しません。
それは、あなたが無知であり、未熟であるからです。
無知であり、未熟なあなたの理想が実現することで、あなたが幸せを手にすることは出来ないのです。
人生とは、自分とは違うものを学ぶ場所であるということを覚えておきましょう。
自分と違うものとは、あなたの嫌うもののことです。
あなたの嫌いなものが、あなたの理想を妨げます。
あなたの嫌いなものが、人生を思い通りにはさせないのです。
多くの人は、人生が思い通りに展開するのが良いことだと考えています。
そのため、理想の実現を妨げる嫌いなものを否定するのです。
未熟者の理想は、人生にとっての問題です。
多くの人は、人生を思い通りにしようとするあまり、人生に問題を引き起こしているのです。
人生に問題を抱えている者ほど、傲慢(ごうまん)に生きているのです。
大切なのは、人生が自分とは違うものを学ぶ場所であることを覚えておくことです。
あなたは、嫌いなものからも学ばなければならないのです。
好きなことや良いことだけから学ぼうとしても、偏見と誤解が強化されるだけなのです。
人生が思い通りにいかないことは良いことです。
思い通りにいかないことから学ぶことは大きいのです。
思い通りにいくことから学ぶことは小さいということを覚えておきましょう。
苦しみは敵ではありません。
あなたは、常に自分が学んでいることを覚えておきましょう。
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