あなたは、物事を見た目によって判断してはなりません。
物事には、表面的な現象と、裏面的(りめんてき)な本質とが共存しています。
現象と本質のどちらかが損なわれることはありません。
現象と本質の二つの性質によって、物事は存在するのです。
現象は表層を形成し、本質は深層を形成しています。
対象を理解するためには、現象と本質の両側面を知る必要があります。
どちらか一方を知ったところで、理解には至らないのです。
しかしながら、多くの人は本質を知らないまま、理解を得たと思い込んでいます。
現象を捕らえただけでは、何も知らないに等しいのです。
多くの人が物事を本質的に考えません。
感情に左右されるように、現象に左右されるのです。
多くの人が現象によって判断しています。
しかしながら、現象とは物事の表層に過ぎず、それは変化し続けているものなのです。
現象に重きを置いていると、判断を誤ることになるのです。
それは、秋になって葉を落とす樹木を枯れたと判断するようなものなのです。
現象によって判断するのであれば、休眠期に入った樹木を切り倒してしまうことになるでしょう。
春になり、花を咲かせ、枝葉を伸ばし、秋には果実を恵みます。
落葉という現象によって樹木を切り倒してしまうのであれば、果実の恵みを受けることはないのです。
それでは益がないのです。
本質を見極めない者は、そのように損をするということを覚えておきましょう。
あなたが豊かさを求めているのであれば、物事の現象に惑わされてはなりません。
物事は、本質的に考える必要があるのです。
そのためには、自分に問い掛けなければなりません。
”それは何か?”
ただこれだけの質問です。
落葉という現象に”それは何か?”と問い掛けるだけで良いのです。
樹木に対して、”それは何か?”と問い掛ければ良いのです。
それによって、あなたは果実の恵みを受けるのです。
直感には根拠がありません。
それは、現象的な力なのです。
直感は大切な”半分”です。
後の半分は思考によって満たされるでしょう。
直感を思考によって理論立てていかなければなりません。
それは、直感の根拠を示すこととなり、本質を得ることができるのです。
多くの人は考えていません。
しかし、本人は考えているつもりなのです。
多くの人の考えているというのは、直感を得た時に現象について考えているに過ぎません。
残念ながら、本質について考えてはいないのです。
それは、質問を怠(おこた)っているからです。
”それは何か?”
ということを問い続ければ、必ず本質へと近付きます。
問い続けない者は、現象を彷徨(さまよ)い続けるでしょう。
あなたは、枝葉が落ちたからといって、樹木を切り倒してはなりません。
樹木が枝葉を伸ばさない時には、地中の根を伸ばしているのです。
畑の作物が育たないからといって、苦悩する必要はないのです。
樹木の本質は根にあります。
根が育たなければ、大風によって倒れてしまうのです。
枝葉を伸ばすことも大切ですが、根を伸ばすことも大切なのです。
要は枝葉という現象と、根という本質のバランスなのです。
枝葉が大き過ぎれば倒れます。
根ばかりだと実りがありません。
多くの人は枝葉である現象を気にしています。
物事を表面的に判断してはなりません。
枝葉が育たない時には根が育っているということを理解しておきましょう。
人生が思い通りに進まなくても良いのです。
苦悩という現象を受ける時には、見えない本質である心が育っているからです。
苦悩という枝葉が育つ時、バランスを取るために心という根が育つのです。
苦悩はあなたを育てるでしょう。
多くの人は直感的に苦悩を嫌いますが、あなたはそれを大切にしましょう。
そうすれば、苦悩の中に心が育つでしょう。
心とは、人の本質です。
それは、仕事の本質であり、人生の本質であるのです。
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