すべての人は、人生に豊かさを求めています。
	すべての人がそれぞれの考える豊かさを求めているのです。
	しかしながら、自らの考える豊かな人生を得られる人はいません。
	それは、この世界においては、決して理想は実現しないからです。
	多くの人は理想の実現こそが豊かさだと考えています。
	理想に反する状況を嫌うのです。
	多くの人が苦悩しているのは、現実が理想に反しているからです。
	思い通りに進まない展開に憤(いきどお)っているに過ぎないのです。
	苦悩の本質とは、その程度のものなのです。
	苦悩とは思い込みです。
	それ以上でも、それ以下でもありません。
	あなたが苦悩を抱えているのであれば、それは自分自身で作り上げているだけなのです。
	人生を豊かなものにするためには、苦悩しないこと(厳密に言えば、苦悩を引き摺(ず)らないこと)が第一条件です。
	現実と理想の狭間で苦悩するような者が、豊かな人生を実現することはできないのです。
	理想は幻想に過ぎず、それは豊かさではないということを理解する必要があるでしょう。
	多くの人は、理想を実現することに必死です。
	理想の実現こそが豊かさであると考えているために、理想の実現のために尽力します。
	しかしながら、多くの人は理想を実現するためならば、偽りを受け入れているのです。
	多くの人は理想を実現するために偽りを用います。
	理想の実現のために嘘を吐くのです。
	自分自身にも、他者にも偽るのです。
	偽りとは、その時点で矛盾です。
	矛盾を抱えるものは必ず歪みます。
	どのようなものであっても、歪みから崩壊に繋がるのです。
	矛盾を抱えるものは、どのようなものであっても必ず崩壊します。
	どのようにしなやかな枝も、捻り曲げれば折れるのです。
	どのように堅固な鉄板も、捻り曲げれば同じです。
	矛盾を抱えて豊かさを得られるものはありません。
	あなたが人生の豊かさを求めているのであれば、偽りを用いてはならないのです。
	何事においても矛盾が生じてはなりません。
	少しの嘘も、積み重なることによっては、少しずつ捻りを加えることになるのです。
	一気に捻り曲げても、徐々に捻り曲げても崩壊は避けられないのです。
	あなたが豊かな人生を得るためには、正直に生きることです。
	正直に生きなければ、乏しさは夜の帳(とばり)のように音も無くやって来るでしょう。
	あなたの目が、偽りによって閉じている時、夜が忍び寄ることに気が付くことはできません。
	あなたは偽りによって光を失うことになるのです。
	暗闇の中では何も見えません。
	暗闇の中では触れていても知ることはできず、口に含んでも味は得られないのです。
	あなたが苦悩の中にいる時には、何も得られないのです。
	そこには当然、豊かさは存在しないのです。
	正直に生きる者には矛盾がありません。
	正直に生きる者は触れるものを知ることができます。
	口に含んだものを味わうこともできるのです。
	あなたが正直に生きる時には、多くを得られるのです。
	盗人が豊かに生きることができるでしょうか?
	盗人は常に弾劾(だんがい)と隣り合わせなのです。
	誠実な商人が乏しく生きることがあるでしょうか?
	誠実な商人は常に賞賛(しょうさん)と隣り合わせなのです。
	他人から騙(だま)し取ることは難しく、他人と信頼を結ぶことは易しいのです。
	それが理想の実現に対して不利に働くと(思ったと)しても、あなたが豊かさを求めているのであれば、正直を選ばなければなりません。
	誠実に生きる者が苦悩を得ることはありません。
	世の中を考察しなければなりません。
	正直者が損をすることなど有り得ないのです。
	その正直者が損を訴えているのであれば、偽善者であっただけです。
	この世界の理(ことわり)を人間が超えることはできません。
	豊かさを得る者は正直に生き、苦悩を得る者は偽りを選んだのです。
	小さな価値観の善悪によって計ってはなりません。
	善悪など、簡単に入れ替わるのです。
	正直か、不正直かを問うているのです。
	
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